ポールシュレイダー監督作品「ミシマ・ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ」より、切腹とエンディングシーンの抜粋です。
本作は作家で活動家の三島由紀夫の生涯と美学、思考の変遷、自決の動機と実行を、彼のインタビューやコラム・小説作品数作から考察し、4章に分けてそれらを読み解いた作品です。
切腹シーンでの独特な画面上の揺らぎは、ズームと引きを繰り返しながらカメラ本体を被写体に近づけることで表現しています。まさに超絶技巧そのものです。

ポールシュレイダー監督は映画「タクシードライバー」の脚本家として特に有名ですが、本作はそんな彼自身が監督と脚本を兼任し、昭和を代表する日本人俳優らとチームを組んで作製されました。

美術・衣装製作は、日本を代表するアーティストで、元資生堂主任デザイナーの石岡瑛子氏。同監督作品の「ドラキュラ」で衣装を手掛け、その色彩豊かな感性と先鋭的なデザインセンスで映画衣装史にその名を轟かせました。監督とは2度目のタッグとなる本作では、石岡瑛子らしさが全編を通して存分に溢れ出ています。
また彼女は地獄の黙示録の日本版ポスタービジュアルや、「落下の王国」の衣装等も手掛けました。亡き今も石岡瑛子という名はデザイン史において煌々と輝き、人々を魅了し続けます。
(回顧展が時々開催されているのでぜひ)

音楽はフィリップグラス。加算的で均一なリズムの取れた音楽が特徴的です。
代表作に「トゥルーマン・ショー」がありますが、実は「ミシマ」の劇中曲にはトゥルーマン・ショーからの引用が多くあります。本動画の一曲もそのひとつで、主人公がプロデューサーと言葉を交わし、実世界への扉を開けたシーンで使われた曲と同様の物です。

俳優陣は誠に豪華絢爛です。
主演の緒形拳は昭和の銀幕史を代表するスタアで、彼に続き沢田研二、笠智衆、坂東三津五郎、李麗仙、佐藤浩一、永島敏行、横尾忠則などなど、豪華なキャストが集結。

時代を彩った先鋭たちが一堂に会し、その力量を存分に発揮した本作ですが、残念ながら諸事情により日本での劇場公開はおろか、円盤の発売すら至っていません。なので日本で見るには海外の円盤を輸入する他手立てはありません。

おすすめはクライテリオン版のBlu-ray(5000円程度、この動画の何倍も画質や音質がいい)を購入し、カラオケのプレイヤーで再生することです。美術も音楽も素晴らしいので、設備の整った場所で見ることを強くおすすめします。
また特典映像として三島由紀夫の没前のインタビューや、石岡瑛子が美術を担当するに当たってのエピソードが収録されています。

1 Comment

  1. 日本では配信、円盤の販売はありません。
    クライテリオン版のBlu-rayを輸入することをすすめます。

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