もう15年ほど前の話。会社という組織に嫌気がさして辞めたとき、なけなしの金とパスポートを持ち、ネパールを2か月ほど旅した。

これはそのときの写真。

だいぶ昔の写真だから、カメラはEOS Kiss X2。
スマホは、ちょうど出始めたばかりのソニー・エリクソン時代のエクスペリア、最初のモデル。

この頃でも、サウスアンナプルナのBC(ベースキャンプ)までWi-Fiは届いていた。
だけど、ほとんど繋がらない。しかも、スマホの充電ができる場所もない。(計画停電で、昼の数時間以外は停電だった)
今では考えられないけれど、当時は「地球の歩き方」みたいな紙の地図が手放せない時代だった。

懐かしいなぁ。
もし、沢木耕太郎さんの #深夜特急 を読んでいなかったら。
もし、大沢たかおさん主演のドラマを観ていなかったら。
この旅はなかったかもしれない。
(ただ、本編にはネパールはほとんど登場しなかったけれど)

#夢枕獏 さんが言っていた——「失くしたものと旅の距離は比例する」。
今になって思えば、あのとき自分は大きなものを失っていた。

帰国してからも、社会人としての信頼、そしてあの時代特有の「リゲイン精神」(24時間働けますか)を失った。
まあ、後者は失くして正解だったと思う。

今は、「世の中なるようにしかならない」からこそ、今の自分がいる。
そう気づいて、好きなように生きている。

あれから何度も海外を旅した。
情けないけれど、今でも「逃避行としての旅」が好きな自分がいる。

数えきれない旅の中で、一番思い知ったこと。
それは——
「何か(お金、名誉、精神的な支え、答え、信仰心)があって当たり前」という考えではなく、
「何かが足りないのが当たり前」 → 「足り無きを知る」 ということだった。

もうすぐ「年寄り」と呼ばれる年になる。
それでも旅はやめられない。

旅をするとき、#井上陽水 さんのあの曲がいつも頭をよぎる。
体が動くうちは、たとえ近場でも旅を続けたい。

takumi.camera

*井上陽水さんの音楽を流しております。

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